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快適な生活のために~がんと褥瘡~

「床ずれ」という言葉を聞いたことはありますか?

医学的には褥瘡(じょくそう)といいます。医療や介護に触れてこなかった一般の人にとっては、「長期間寝込んでいるとできるアザかタコのようなもの」と軽く考えられがちで、言葉は聞いたことはあっても意外と知られていません。実際には、皮膚組織がジワジワと壊死していく状態をいい、生活に影響し、感染すると命にかかわることもあります。

寝たきりや車いすのほか、がん手術などの全身麻酔中でも起こる可能性がある症状です。また、在宅医療やがんの在宅ケアなどでこれからかかわる可能性もあることなので、詳しく解説していきます。


床ずれができる原因

常時臥床(がしょう)※の方や、車いすを利用していて、自力で体位変換ができない方で、体の一定部位に体重がかかる「圧迫」や「ズレ(摩擦)」が2大原因です。圧迫や摩擦で血流障害を起こすと、皮膚組織の細胞に血液から栄養や酸素が届かなくなり、細胞が壊死し、重症になると細胞が壊死して潰瘍化します。潰瘍化とは皮膚組織が腐ることをいいます。自力で動くことができ、寝返りが打てる人は褥瘡にはなりません。

特に高齢者は肌が乾燥しやすく、刺激に弱くなっています。食事を十分に摂れず、 低栄養状態が続くと筋肉や脂肪が減っていき体重が減少します。また、むくみによって血流が悪くなっていたり、 病気によって痛みを感じにくい、体・関節が動かしにくいことも床ずれが発生する原因になります。


※臥床(がしょう)…ベッドなどに寝ていること。

◎床ずれが起こりやすい箇所

特に、骨が突出している部位や脂肪や筋肉が薄いところが褥瘡ができやすいとされています。


・仙骨部 (お尻の中心)

・大転子部

・腸骨稜部(骨盤の上部)

・踵骨部(かかと)

・外顆部、内顆部(外くるぶし、内くるぶし)

・肩甲骨部や肘頭部


他にも耳介部や後頭部など身体のあらゆる箇所に発生する可能性があり、同じ体勢になることが多い人に発生することが多いです。

また、2時間以上同じ状態で寝ていると壊死が始まるという研究報告もあります。病院では、自分で体位変換できない方には2時間おきに体位変換すると決められています。在宅医療や介護をする際には、毎日皮膚の状態を観察して異常がないか確認しましょう。

◆参考◆褥瘡予防・管理ガイドライン(第 4 版)http://www.jspu.org/jpn/info/pdf/guideline4.pdf


こんな症状がみられたら、床ずれに要注意

床ずれができた直後に見られる主な症状として、指で押しても白くならない赤みや水ぶくれ、内出血などがあります。床ずれは、傷の深さによって4段階に分けられます。表皮までの浅い褥瘡の場合、赤みや水ぶくれ、内出血などの症状が見られます。新しい皮膚が再生するために必要な細胞や毛根も残っているため、比較的短期間で治癒します。一方、表皮を超えて深い褥瘡になると皮膚が破綻して潰瘍になったり、赤みが黒色に変わり、ひどい場合は傷が筋膜や骨にまで達します。

組織の多くが死んでしまい、それを取り除かないと傷が治らないため治るまでに時間がかかってしまいます。皮膚の赤みを発見した時は、その部分に圧力が加わらないよう体位を変えて少し様子を見てみましょう。


まとめ

時間をかけて表面からじわじわ奥へ壊死していく一般的な褥瘡は、あまり痛みを感じません。皮下組織は知覚神経細胞がそれほど多くないため、鋭い痛みを感じません。

まず褥瘡は、脂肪や筋肉が少なく骨が突きでている部位にできやすいので、その部位を知っておくことが大切です。初期段階だと皮膚が部分的に赤くなります。初期段階であれば、塗り薬や保護剤を使うことで1週間から1ヶ月程度で治ります。しかし、放置してしまうと1年以上治るまでに時間がかかることもあります。見るたびに同じところが赤い、もしくは皮がめくれている、水ぶくれになっている場合は褥瘡が始まっている可能性が大きいので、赤くなっているだけと軽視せずに形成外科、皮膚科、外科を受診してください。

これから在宅医療も増えていくことと思います。ケガや病気に意識が行きがちですが、大切な家族を守るためにも、家族が初期症状などで気づいてあげることが大切です。


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