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内視鏡検査とバリウムはどちらを選ぶべき?

更新日:2022年5月18日

以前大豆とがんの関連性について触れました。

今回は「胃がん」についてです。


胃がんとは、胃にできた悪性腫瘍の総称です。胃がんの原因は様々ですが、正常な胃の粘膜の細胞が変化することで発症します。昨今、ピロリ菌の感染による胃がんの感染が注目されています。実は、ピロリ菌感染者とそうでない方では、胃がんの発生リスクが大きく異なることがわかりました。ピロリ菌感染による慢性的な胃粘膜の炎症が、胃がんの主な原因とされています。

胃がんの特徴は、「初期では自覚症状が現れにくい」ことです。進行した場合でも、目立った症状が現れないことも少なくありません。胃の不快感や胸焼け、食欲不振等、「放っておいたら治る症状」と似ているためです。胃がんを早期発見・治療するには、年に1回を目安に定期的な検査を受けることが大切です。


胃がんは、がんによる死因の上位を占めています。しかし、早期発見・早期治療すれば治せるがんでもあります。胃がん検診については、以前はバリウム検査(胃透視検査)がまず行われ、異常があった場合に二次検査(精密検査)として胃カメラ(内視鏡検査)が行われていました。

胃透視検査は、飲んだバリウムを胃の中に薄く広げて、胃の形や表面の凹凸をレントゲンで観察するものです。一方、内視鏡検査は先端についた小型カメラで胃の中を直接観察するものです。言い換えれば、胃透視は白黒の影絵を見ているにすぎず、凸凹のない平坦な病変や色の違いは認識できませんが、内視鏡は色の変化やわずかな粘膜の隆起や凹み、模様の違いを認識できます。


これまで検診において胃透視検査が内視鏡検査よりも優先されてきた理由は3つあります。


・胃透視の方が手軽にできる

・費用が安い

・検査時間が短い


また胃透視検査は放射線技師が主に施行、内視鏡検査は医師のみのため、胃透視検査は人手が多く、より多くの受診者を検査することができました。


しかし、胃透視検査では少量ではあるものの放射線被ばくがあります。また、稀ですがバリウムの誤嚥による肺炎や、バリウムがなかなか排便されない場合に腸閉塞が起こることがあります。

しかし、内視鏡検査にも欠点があります。多くの方が胃透視よりも内視鏡の方が苦しいと感じ、こんな辛い検査は二度と受けたくないとおっしゃられる方がいるのも事実です。一方、全く平気という方もいらっしゃいますし、検査の際に鎮静剤(眠りぐすり)を注射することによって、眠っている間またはぼんやりした状態で楽に検査を行っている施設もあります。



検査に不安を感じられる方は、検診を受けられる際に鎮静剤の使用や経鼻で内視鏡検査が受けられるかどうかを事前に確認しましょう。


2016年2月に厚生労働省から示された「がん予防重点教育及び検診実施のための指針」において、以前から行われている胃透視検査に加えて内視鏡検査が胃がん検診に推奨されました。また、令和3年度の改正では


"受診を特に推奨する者を50歳以上 69歳以下の者とする。"

令和3年10月1日一部改正新旧対照表より引用


という文言が追加されました。

これを受けて内視鏡も検診に取り入れている市町村や健診センター、胃腸科の病院やクリニックが急速に増えています。


それぞれの長所と短所を踏まえたうえで、自分に合った受診を決めていきましょう。

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