分子栄養療法
分子栄養療法 Orthomolecular/オーソモレキュラー
分子栄養療法とは、個々に最適な量の栄養素を用いて、体調の改善・慢性的な不調の改善を目指していく治療法です。
海外でも、オーソモレキュラー栄養療法として注目されています。
1960年代に二重ノーベル賞受賞者のライナス・ポーリング博士が提唱したもので、体内の分子レベルでの栄養素のバランスが健康に重要であるとする考えに基づいています。
分子栄養療法の基本的な考え方は、各個人の体に必要なビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸などの栄養素の量は異なるため、適切な量を補充することが重要だというものです。栄養不足や過剰摂取が体の不調を引き起こす可能性があるため、個々の体調や状態に応じた栄養素を摂取することを必要とする考え方です。
下記のような方におすすめできます。
・健康診断では異常がないのに、なんだか調子が悪い
・夜中に何度も目が覚める
・仕事中にぼーっとしてしまう
・病気とまではいかないが調子が悪い
このように、検査の結果上などでは病気は認められないが、どこか調子が悪い…といった場合に用いるのが分子栄養療法です。
検査・治療方法
○問診により、生活習慣や食事内容を把握する。
○血液検査
血液検査は、栄養素の欠乏や過剰、または体内の炎症状態を評価するために広く使用されます。具体的には、以下のような栄養素や成分を測定します。
・ビタミン類: ビタミンD、ビタミンB群、ビタミンCなど
・ミネラル類: 鉄、マグネシウム、亜鉛、銅など
・脂肪酸: オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸のバランス
・アミノ酸: 必須アミノ酸の濃度
・抗酸化物質: グルタチオンなど、体内での酸化ストレスに関連する物質
・炎症マーカー: C反応性タンパク質(CRP)など、体内の炎症状態を示すマーカー
○尿検査
尿検査では、主にビタミンやミネラルの排出量を測定し、体内での栄養素の代謝や吸収状態を評価します。特に、有機酸検査という詳細な尿検査では、エネルギー代謝や腸内環境、解毒機能に関する情報も得られます。
・ビタミン代謝の評価: ビタミンB群やビタミンCなどの代謝産物
・ミネラル排出量: 亜鉛やマグネシウムの排泄レベル
・酸化ストレスのマーカー: 体内の酸化ダメージの状態を評価
○便検査
腸内環境を評価するための便検査も行われます。腸内細菌のバランスや消化機能、炎症の有無を確認することで、栄養吸収の状態や腸内環境が健康にどのように影響しているかを知ることができます。
・腸内フローラ: 有益菌や有害菌のバランス
・消化酵素の分泌: 消化機能の評価
・腸内炎症マーカー: 炎症や腸内バリア機能の評価
○遺伝子検査
遺伝子検査を用いて、個人の遺伝的特性に基づいた栄養素の代謝傾向やリスクを評価することもあります。特定の遺伝子の変異がビタミンやミネラルの吸収に影響を与えることがあるため、これを元に個別化された栄養療法が行われることがあります。
○ホルモン検査
ホルモンバランスを評価するための検査も実施され、これにより、ストレスや睡眠、エネルギー代謝に関連する栄養素の必要性が見えてきます。特に、コルチゾールや甲状腺ホルモン、性ホルモンなどが調べられます。
分子栄養療法では、これらの検査結果を基に個々の栄養状態を詳細に把握し、栄養素のバランスを最適化するため治療方法を検討します。